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弁護士の眼

裁判所の利用と訴訟の割合

| 2011.10.31 月曜日 | 弁護士の眼(近森土雄) |

以下の記事は「MNO Office Letter 2011年8月号Vol.67」(発行人株式会社成岡マネジメントオフィス)に掲載された私の記事「弁護士の視点 №2」を加筆修正して、再掲したものです。

日本の裁判所に1年間にどのくらいの件数の事件が申立てられているか、ご存じですか。刑事事件や少年事件を除くと、その数は、320万件。そのうち、80万件が家事事件です。
 これだけ紛争があるのかと驚かれるでしょうが、事件の当事者が本格的に白黒を争っている事件は、その10分の1弱、30万件くらいではないでしょうか。 
本格的な裁判手続きである民事訴訟は、320万件のうち、地方裁判所23万件余り、簡易裁判所66万件弱です(裁判所データブック2010)。地方裁判所の民事訴訟で、原告・被告の双方に弁護士がつくのが28%、まったく弁護士がつかないのが25%。
 これらは平成21年のデータですが、最近はテレビ宣伝でもおなじみの貸金業者に対する過払金の返還請求事件が地方裁判所(請求額が140万円を超える訴訟)の訴訟でも約半数を占めるといわれており、法廷風景につきものの証人尋問も減っています。
 本格的に争う訴訟では、大方の人が弁護士を代理人に依頼するほうがいいと思われると思います。たしかに「勝つべき者を勝たす」ことが裁判の理想ですが、 裁判官は法律や訴訟手続に基づいて判決をせざるを得ないので、勝つべき事件ほど弁護士が必要になります。一方で、争いのないと思われる訴訟でも、弁護士に 相談して、適切な対処法を知れば紛争の解決が適切にできる場合も意外とあります。
訴訟になれば、ともかく、弁護士に相談することをお勧めします。

近森土雄


弁護士は身近になりましたか?

| 2011.10.26 水曜日 | 弁護士の眼(近森土雄) |

以下の記事は「MNO Office Letter 2011年7月号Vol.66」(発行人株式会社成岡マネジメントオフィス)に掲載された私の記事「弁護士の視点 №1」を加筆修正して、再掲したものです。

今から20年ほど前には、できれば、お世話になりたくないが、いざとなると必要。しかし、その時にすぐに相談できないのが弁護士。その要因は、弁護士の数の絶対的な不足、とされていました。
 そこで、当時は年間500人程度だった司法試験合格者が徐々に増え、現在は2000人程度に増員されました。識者やマスコミからの批判や、経済界、各種 の団体からの政府への増員要望があり、弁護士会も増員に賛成。ところが、最近は、主として弁護士のなかから、この国には増員するほどの法的需要はなかった のではないかという疑問の声があがっています。
簡単に結論が出そうにない問題ですが、法曹人口(聞きなれない言葉と思いますが、法曹は弁護士、検察官、裁判官の三者を言います)を大幅増員するという政策によって、知り合いに弁護士がいる人が増え、その結果、弁護士が身近になったことは間違いないと思います。
それでは、皆様にとって、法律相談がしやすくなり、相談の機会が増えましたか?さらには、相談してみてよかったですか? と、質問を続けたいところです。
よかったというご回答をいただけなければ、そもそもの法的需要の予測を立てることができません。いいかえれば、弁護士を増員しても、いざという時にお役に立ったという利用者が増えていなければ、いくら弁護士が身近になっても増員した意味がなかったことになります。
これから何回かに分けて、弁護士が皆さんのお役に立てそうな場合をあげてみますので、ああ、こんなことで必要になるのかと思っていただければ幸いです。

近森土雄


自転車のマナー

| 2011.10.19 水曜日 | 弁護士の眼(大和克裕) |

自転車のマナーについては、最近ピストと呼ばれる自転車のブレーキ不備が問題となってマスコミ等でも話題になっています。今日も警視庁が自転車の歩道通行禁止を徹底するとのニュースが流れていました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111019-00000015-mai-soci

 自転車のマナーについては1年半ほど前に大阪弁護士会のホームページで書きました。http://www.osakaben.or.jp/blog/posts/39/entry/268
 若干修正しますと、自転車が横断歩道を進行してはいけないのはそのとおりなのですが、いわゆる歩行者信号がある場合には横断歩道は進行して良いことになっています。

 このような自転車の交通マナーの悪さは、自転車と歩行者は同じだと勘違いしていることから生じるのだと思います。
 確かに対自動車の事故では両者とも弱者になっていますが、自転車対歩行者で同じと考えるのは大間違いです。
 昨年3月に東京や大阪などの交通事故専門部の裁判官が話し合いをし、歩道での自転車と歩行者の事故は原則として100%自転車に過失があるという結論になりました。
 つまり、見通しの良い歩道で自転車と歩行者が両方とも避けずに正面衝突した場合、原則として自転車が100%悪いということになります。
「歩行者から自転車が見えていたじゃないか」とか「歩行者も避けれたはずだ」という主張は一切認められません。「歩行者に避ける義務はない」「自転車が避けるか止まれば良かった」「自転車が歩道を走らなければ良かった」で一蹴されてしまいます。

 相変わらず、ベルをうるさく鳴らして歩行者をよけさせて、かなりの速さで走っている自転車を見かけますが、このようなことを全く分かっていないのでしょう。いつ加害者になってすべての責任を負わねばならなくなってもおかしくないのです。
 自転車が歩道を走ることはバイクが歩道を走るのと同じだという認識をぜひとも持って欲しいと思います。

 大和克裕 


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