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弁護士の眼

法律相談のむずかしさ

| 2012.02.2 木曜日 | 弁護士の眼(近森土雄) |

以下の記事は「MNO Office Letter 2011年10月号Vol.69」(発行人株式会社成岡マネジメントオフィス)に掲載された私の記事「弁護士の視点 №4」を加筆修正して、再掲したものです。

弁護士が相談者から事実経過を聞いて、相談者の権利と義務について意見を述べるのが法律相談ですが、相談者にとって、適切に事実経過を整理し相談すること は意外と難しい。というのは、法律判断をするのに必要な事実が何かかが分らないのが一般的で、そのため伝えるべき事実も分らないからです。
テレビで、数人の弁護士が法律相談に回答をするが、弁護士によって意見が違ったのを、回答の正否ではなく、回答者の個性や人生観の問題として司会者が巧み に整理進行するのが人気の番組があります。これも、一方的な質問で、提供される事実関係が不十分なことが、結論が分れる主な原因です。
主な原因と言いましたが、相談者から事実関係が適切に伝えられても、その事実を証明できる証拠がない場合にも弁護士の意見が分れます。相談者本人も当事者 として証拠になりますが、裁判所はなかなか信用してくれません。できれば第三者の証人(目撃者など)、書類などの証拠がいります。証拠がそろえば、判決の 見込みについて弁護士の意見はより一致するはずです。
 それでも、意見が違う場合があります。それは、適用する法律の理解に食い違いがある場合で、条文や判例の解釈、裁判実務の理解によって、裁判の見込みに差があります。
ご相談者ご本人があらかじめネットなどで法律を調べて、相談されることが最近は多くなりましたが、法律を誤解されていることが相談で分ることがめずらしくありません。

近森土雄


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